7月6日
明日はオフ。ゆずと二人で過ごす予定です。ユニット会見から約一週ぶりにゆずと顔を合わせます。 ”ゆずっとリリィ☆”を組んだものの、ユニットといえど毎日一緒にいられるという話でもありません。
私には自身のブランド、「ゴシックビクトリア」のデザイナー兼ミューズとして、新作ドレスや、ショップで販売するお洋服のデザインやプロモーションの打ち合わせ、お披露目ライブのスケジュール調整、オーナーのピロシェンコ氏と、今後のゴシックビクトリアの展望や、コンセプトイメージのすり合わせの為、私自身海外に赴くこともあります。 ゆずはゆずで、海外からのさまざまなオファーを蹴り高等部へ進学するも、イベントや海外ライブ、ブランドミューズの仕事も次から次へと舞い込み、S4時代と変わらぬかそれ以上に多忙な日々を送っているようでした。
稀に、カンストしたゆずの頭から湯気が出ているのを学園の食堂で見かけたときは背後からそっと頭を冷やしたものです。
その度ゆずはハッとし勢いよく振り向き、眩しい笑顔でこちらをみます。
ここ数日は雨の日が続きました。梅雨明け宣言が出されてからの方がむしろ、雨量の多さとジメジメとした"梅雨らしさ"を感じられることさえ多いように思えました。
明日はゆずが「星が見たい!」と言っていたので、星を見に行くことになりましたが、今のところ明日の予報は雨。電話の先からゆずのしょんぼりした声が聞こえてきました。
「織姫と彦星は一年に一度しか会えないのに、雨なんて寂しいぞ!ゆずはリリエンヌと一年も会えなくてさらに1年お預けなんて、絶対にムリだもん~。」
たまにロマンチックな発言をするゆずを私は可愛らしく思います。ゆずってば乙女さん。
私はしょんぼりした声に向かって語りかけました。
「大丈夫ですよ。雨が降って、私たちがベガとアルタイルを観測できなくとも、その雨雲の上は満天の星空です。誰にもみられず二人きりで密会していることでしょう。静かに二人で時を過ごせる年というのもまた、必要なことです。それに私とゆずは去年も今年の夏も、一緒にいるではありませんか。」
「そっかー!さっすがリリエンヌ!じゃあ雨でもゆずたちも楽しめる、リリエンヌが好きそうな喫茶店があったから明日はそこにいこうね!ステンドグラスがキレイでね、雨の日なんかキラキラ反射してもっとキレイだと思うんだ!」
電話の先の声は跳ぶように踊るように返ってきました。私の心も飛ぶようにく、穏やかな気持ちになりました。早く飛んでいきたい。
明日が待ち遠しい。
「ふふ、そうですね。では明日はそのお店へ行きましょう。おやすみ、ゆす。」