8月16日
ゆずのライブを観に行きました。と言っても、ゆずが私のために療養中の高原ステージで開催したため、私の部屋から外を眺めると目の前にステージがみえる、いわば特等席。
いつも外を眺めて夏の終わりを願うばかりのこの場所も、ゆずにかかればあっという間に素敵に輝く場へと変えてしまうのです。
ゆずのライブ終わり、裏方に挨拶に伺いました。
大勢のスタッフの方々がステージチェックや音響、照明チェック等でパタパタと駆け回っています。皆さん暑くてしんどそうなのと裏腹に、表情はキラキラと輝いていました。ゆずのステージを一緒に支え作り上げる、まさにキラキラな一時でしょう。
私はゆずを見つけると、小さな歩幅で側へ向かいました。
「あ!リリエンヌ!も~部屋で見ててって言ったのに!こんなに暑い中外に出て来たら意味がないんだぞ!」
ゆずは拗ねた口調で私を心配してくれます。
私は、どうしても直接感想を伝えたかったのをゆずに話ました。
「も~っつぎの曲もうすぐ始まるけど、それまでに絶対にお部屋のベッドに戻るんだぞ!ゆずとの約束!」ゆずは照れながらも然り口調を変えず、私に部屋に戻るよう促します。
先代S4の先輩方の姿ががそこにはありました。
「ゆず、いいステージだったぞ。ほら、ご褒美タイムだ!」
「わーいツバさっちのご褒美ラムネ~♡ᵕ̈ひっさしぶりだぞ☆」
ゆずは勢いよくプシュッ、と蓋を押し込み泡をこぼし笑います。
「あらあら、ゆずったら、相変わらずおてんばさんね。もう高等部生なのだし、女の子ならおしとやかも必要よ?」
「ふふっ。ゆずは目の前の楽しいことが一番大事ですものね。」
談笑しながら囲むその空気はとても独特であつあたたかく、特別な雰囲気を感じとることができました。たった一年、学園のトップアイドルとして一緒にアイカツをしただけでこの絆とも呼べるのでしょうか、深いつながりを私は感じました。
遠目からゆずを見返しました。ゆずは勢いよくツバサ先輩から与えられた”ご褒美”を空を仰ぐように飲み干さん勢いで喉に滑らせていました。
その時、強い光が私をギラリと睨みました。
ラムネの瓶の中に入っているビー玉が、どうやら太陽の反射で光ったようです。
あれ、ラムネ出てこないぞ~
「上に向け過ぎると、中のビー玉が飲み口に挟まって飲めなくなるんだよ」
「え~ゆず!勢いよく飲み干したい!」
そんな賑やかしい会話を遠くから聴きながら、私はラムネのビー玉に何処か心惹かれながらその場を去ったのでした。