tundra-sdiva’s blog

白銀リリィさんが夏を頑張るお話。

秋の夜空の元、考え事に耽っていたら、手足が冷え切ってしまっていた--

そんなことすら、握られた手の温かみを感じるまで私自身気付かなかったのです。

 

「リリエンヌ、もう冷えるから部屋に戻ろう?」

「ゆず、どうして私がここにいるとーー」

「そんなの決まってるゾ!ゆずはリリエンヌの幼なじみだから、リリエンヌのことならなんだってわかるんだゾ!」

いつもの笑顔でゆずは私の疑問に答えました。

握られた手は暖かく、むしろ少し汗ばんでおり、ゆずが今まで私を探し走り回っていた事を示していましたが、私はその事には何も触れずゆずの手を受け入れました。

 

「ふふっ。ゆず、それでは理由になっていませんよ。」

自然に溢れた笑顔をゆずに向けました。それはなんだかとても久しぶりの感覚のようでした。

 

私とゆずはいつものように手を繋いで、いつもと違う、静まり返った夜の道を寮へと静かにゆっくりと歩いたのでした。